睫毛内反の手術とダウンタイムの入り口で考えたこと

こんにちは。お久しぶりです。
エンジニアの前原です。

最近はSRE部門に新メンバーが加入して大盛り上がりです。
ISMS取得、社内ルータの設定、もしかしたら引っ越し?にともなう回線敷設の再検討などなどイベント目白押しですが引き続きがんばってゆきます!

今回は先日、先天性の睫毛内反を治療すべく切開法の二重化の手術(保険適用)を受けてきたことについて書いてみようと思います。
成分としては睫毛内反の紹介(2割)とポエム(8割)です。
では、対戦よろしくお願いします。

睫毛内反とは何か

睫毛内反というのは

まぶたの皮膚が多いことによって、まつ毛が内向きに押されて角膜(いわゆる黒目の表面)と結膜(いわゆる白目の表面)に接触している状態です。睫毛内反のほとんどは生まれつきのものです(先天睫毛内反)。

日本小児眼科学会 | 子どもの眼の疾患に関する医療と学問の発展を目的とする日本小児眼科学会より

ということで平たく言うと逆睫毛です。

先天性のものであれば通常15歳~18歳くらいで成長に伴って治る人が多いらしいです。逆にそれ以降で治ってなかったら何らかの治療をしなければ改善されないということでもあります。
僕の場合は『目を開くとなんだか痛い。』と思いつつこれが治療可能なものだとは思っていなかったため、28歳の今まではあまり目を開かないようにする、というソリューションで生き抜いてきました。

睫毛内反の手術

僕の場合は上瞼が重たいせいで目の上側の角膜に睫毛が当たる状態となっていました。
病院へ行って相談し『二重を形成して対処する。方法は埋没法と切開法の二種類があるが、瞼が重ためであるため切開法で実施する。』ということになりました。
切開法の詳細はこちらの記事を見るとわかりやすいです。
切開法(全切開法・ミニ切開法)の特徴と手術内容:美容外科 高須クリニック
これは高須クリニックの切開法による二重手術の紹介ページです。
僕の手術は美容整形ではないためデザイン等はほとんど指定できないのですが、おおよその流れは記事にある通りでした。

初回の相談で手術の方針なんかは全部その場で決まってしまったのですが、もともと一重であるのが二重に変わるということでこの容姿の変化を許容するかということに関しておおいに悩みました。
実際手術を受けた後でも睫毛内反の症状が改善したことについてはもちろんうれしいのですが、見た目の変化を鏡で観察するとどうも奇妙な心持になります。

そんなこんなで手術当日がやってきました。
笑気ガスを吸入し、鎮静剤の静脈注射を行います。
両まぶたにちくっとした鋭い痛みがあり、麻酔かなと思ったところまでは覚えています。
しばらく眠ってしまっていたようでした。
執刀医の方から目を開けるように声をかけられます。どうやら目をあけたのを見て手術の出来栄えを確認してくれているようです。
二回ほど調整をしたでしょうか。手術の完了を告げられて待合室に戻りました。

上瞼はやけに重く感じられます。おそらく麻酔の影響だったのだと思います。
鏡を近づけて確認すると血だらけの瞼がガーゼの下で二重を成しているのが見てとれました。
近視であまりよく見えなかったのと鎮静剤で頭がぼーっとしていたのもあり、あまりよく物事を考えられず『あぁ、そうか。二重になるんだったよな。一重の僕はもうおらんのだよな。』と思ったのを覚えています。
出来栄えについて心配するというよりも何かを損ねてしまったような感覚が僕の中にありました。

その後は鎮痛剤と抗生剤の処方について簡単に説明を受け、瞼の抜糸の日程を予約して帰宅しました。
幸い麻酔による陶酔感もほとんどなく、またパートナーが迎えに来てくれていたので帰宅は楽に行えました。
(もしこのブログを読んでくださった方で手術を受ける方がいれば可能な限り迎えに来てくれる方を手配したほうが良いと思います。)
ただし手術後の目がかなり痛々しかったため暗い時間にサングラスをかけての帰宅となりました。
僕は非常に目が悪く、またサングラスのレンズには度が入っていなかったので迎えに来てくれてとてもありがたかったなと振り返って思います。
手術は無事に終了しました。

手術後、ダウンタイムへ

手術当日は帰宅後、家に帰って食事をしたのち目を冷やして就寝しました。
顔をぬるま湯ですすいでもよかったのですが、傷口に触れると痛むのでその日は枕カバーにタオルを敷いて眠りました。
縫合した箇所から少し血がにじんでいたようで起きるとタオルには小さな血のシミができていました。
生活自体に支障はないのですが手術の次の日は腫れがひどく、瞼の異物感もそれなりに強くありました。
パフォーマンスが落ちるのを懸念して仕事では休暇を取得しましたが頑張れば働けないこともなかったなと振り返っています。

この記事を執筆している今日という日は手術から数えて四日目です。
二日目、三日目と時間がたつにつれ腫れも引き始め、内出血の赤黒い痕も次第に目立たなくなってきています。
それでも目が外側から見える状態で外に出ることははばかられるような状態です。
極端な痛みもなくどうやら経過自体は問題ないようです。

ここで僕が手術後に感じた喪失感と変化し続ける外見に関して思われる事柄について少し書いてみたいと思います。

喪失感を味わうことはそもそも全く想定していませんでした。
『一重の僕にサヨナラバイバイだわ(笑)』などと冗談めかしたメッセージを友人に送るほどには。
しかし、予想に反して特に懸念するだろうと予想していた『誰かに変化を認識される』ということよりもこの喪失感のほうが僕の心の中で顕著に立ちのぼってきました。
あの時の顔をした人間がもうこの世界には存在しないのだという事実にどうしても動揺してしまいます。
あの顔でいた時間はどうあれ過去であり変わることはないものであり、あの時のあの顔をしてなんて誰かに頼まれることだってあるはずはないのだ、とわかってはいるのですが、しかしそれでも青年時代を共に過ごした親友を失ったかのような寂しさを感じます。
とはいえ、今更元に戻すことができないことはわかっているので今後はこの顔でやってゆくのだと言い聞かせ鏡をもとの位置に戻します。

僕は日頃から様々な物事につけ鈍感であると僕自身を評価していましたんですが今回こんな風に感傷的になるほどには容姿の変化に影響を受けることに少なからず驚かされています。
どうも容姿の変化は僕にとって刺激が強かったようです。
少しこの寂しさと喪失感について思考を整理してみました。
様々な思い出と僕を連結しているのはその場にその出来事を観測した僕が存在したという記憶ですが、容姿の変化によってその連結が切断されてしまったかのように感じているというのがこれらの情動の正体のようです。
別に連結が切断されてしまうだなんてそんなことないんですけどね。
僕の顔そのものをさして僕と呼称する、というか『僕という存在の代表が顔』という認識を知らず知らずのうちにしていたのかもしれません。

次は変化し続ける外見について触れましょう。
傷の回復という点において経過は良好です。というわけで特に問題はないはずです。
しかし、鏡を見るたびに美容的観点における向上を意図したのでないにもかかわらず出来栄えはどうなるのだろうか、と想像してしまいます。
これは答えのないもので非常に消耗します。(睫毛だけに。)
ほかの例を見ると大体一か月ほどで回復後の見た目にかなり近くなるとのことでそれを待つしかなさそうです。
今のところまだ腫れていてもともとかなり薄い顔だったのがかなり濃い目の顔になってしまっておりややウケな顔面です。
幸いなことに出来栄えに関してはあまり気にしすぎていないので醜形恐怖症は拗らせずに済みそうな気がしています。
また手術痕によって非常に痛々しい見た目(赤黒い瞼、二重の重なる部分が腫れている)をしているために外出しようという気はあまりわかず他者からの刺激を得る機会は減少しています。
コロナ禍におけるリモートワーカーの状況と非常に似ているなと思うのですが、結果として思考様式はどんどん内省的になってゆきます。
自分と向き合い続ける状況はなかなかに苦しいものがありますね。

美容整形界隈には『ダウンタイム鬱』という言葉があります。
字のごとくダウンタイム中に鬱のようになってしまうことを指す言葉らしいです。
まさに今体験しているようなことが引き金となって発生しうることだと考えています。
僕はダウンタイム鬱というのがあるんだな、という予備知識ありきでこの状況を認識しているからこそ思考の螺旋に陥ることを防げていますが、しかしなるほど確かにこの状況はかなりの危険地帯なのだなということがわかり改めて気を付けようと思うばかりです。

これから

まだ手術後四日目ということでしばらくアクティブな習慣や趣味からは離れてしまうのですが自宅における生活の充実を改めて試行してみようと考えています。
早速その一環として最近はよい香りのするものやお風呂を充実するアイテムに凝って集めています。
AESOPのスキンケアに手を出してみたのですが結構沼ですね。実際沼ってます。

また緊張はするのですが手術痕が目立たなくなったタイミングで早めに知人に顔を見せるようにしていかなきゃな、とも考えています。こちらは傷の治癒状況によりますが。
ただ正直僕がその知人の立場だったとしてもなんて言えばいいのかよくわからないと思います。難しいですよね。。。

そしてダウンタイムで習慣は明らかにインドアになるのでなにかこの時間を活用できるような新しい習慣を身に着けられればな、と考えています。
草案すらまだない状態なのでとりあえず読書量を増やしてゆく予定です。直近だと実践ハイパフォーマンスMySQLを眺めています。(ただ読むにはつらい本ですね、これ。)

肝心の手術後の目の経過については僕の次回の記事(おそらく4/6更新)で触れてゆけたらと思います。

ではまた来月お会いしましょう。
お読みいただきありがとうございました。