スクラムの各種イベントに対して懐疑的だったが、チームでの改善を繰り返すうちに意義を感じるようになった話

自己紹介

はじめまして、2020年の1月から業務委託、2020年の11月から正社員でコミューンのエンジニアとして働いているよしもと(@yoyo_yo123)です。

2022年の頭にスクラムチームが誕生し約8ヶ月間スクラム開発をしてきました。

正直スクラムを始めた当初はスクラムイベントの意義を感じられず多くのイベントに懐疑的でした。
しかしチームでの改善活動や取り組みを繰り返す中で、「スクラムイベントは意義があるものだ」と感じるようになりました。

今日は私が元々どう感じていて、今はどう感じているか、それは何故か、についてお伝えできればと思います。

スクラムイベントのどこに意義を感じてなかったのか?

  • 短いミーティングの中だけで実施されるリファインメント
    • 要件の理解や実現方法の検討もできずで、「ただPOから話を聞くだけ」のあまり意味のない時間になっていた
    • 時間内にストーリーの詳細化が進まず、結果として荒いストーリーをスプリントに持ち込んでしまうようになっていた
  • デイリースクラムはただの進捗報告会になっていた
  • 作成に時間ばかりかかって曖昧なまま走る計画に自信が持てず「結局プランニングする意味あるの?」と感じていた

意義を感じるようになったキッカケと背景

以下の改善活動や取り組みをキッカケに、スクラムイベントに意義を感じられるようになっていきました。

  • 書籍「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」の輪読会への参加
  • プランニングで計画に自信が持てるようにチームで話し合った
  • デイリースクラムで「スプリントゴールを達成するために」どうしたらいいかを議論
  • リファイメント前に準備の時間を設ける

書籍「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」の輪読会への参加

何をやったか

スクラム開発経験者が少ない状態かつ知識が浅い状態でしたが、スクラムマスターがチームの知識を底上げするために「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」という本の輪読会を企画してくれました。

https://www.amazon.co.jp/SCRUM-BOOT-CAMP-BOOK%E3%80%90%E5%A2%97%E8%A3%9C%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88%E3%80%91-%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AB%E9%96%8B%E7%99%BA-ebook/dp/B086GBXRN6/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2TNNUUYBTR8JW&keywords=%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0bootcamp&qid=1661006080&sprefix=%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0bootcamp%2Caps%2C207&sr=8-1https://www.amazon.co.jp/SCRUM-BOOT-CAMP-BOOK%E3%80%90%E5%A2%97%E8%A3%9C%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88%E3%80%91-%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AB%E9%96%8B%E7%99%BA-ebook/dp/B086GBXRN6/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2TNNUUYBTR8JW&keywords=%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0bootcamp&qid=1661006080&sprefix=%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0bootcamp%2Caps%2C207&sr=8-1www.amazon.co.jp

元々本を読むモチベーションが続かず読み切ることが得意ではありませんでした。 そこに輪読会という「発表しなくてはならない」機会を設けていただいたことで最後まで読み切ることができたので、参加してよかったと感じています。

やってみて何か変わったのか

「各種スクラムイベントの意味」を学ぶことにより、スクラム及びそのイベントに少しずつ意義を感じるようになっていきました。

  • リファイメント → ミーティングではなくバックログをより良いものにしていくための活動
  • デイリースクラム → 進捗報告会ではなくスプリントを達成できるか検査するイベント
  • プランニング → お互いに自らの知識や経験をすり合わせて計画し再現性且つ高い確度を持つ計画を作り出すイベント

失敗したスプリントをキッカケに計画の不安を取り除く取り組みが始まる

何をやったか

全てのタスクを完了させられなかったスプリントに対してレトロスペクティブで振り返った結果、4点の計画と実行に関する問題点が挙がりました。

  1. タスク1つ1つのサイズが大きく、担当者の感覚値を元に進捗報告されるため、計画の遅れを正確に検知できなかった
  2. 早期に検知できた筈のバグに気付けなかった
  3. そもそも、他の皆も計画に対して自信を持てていなかった
  4. プランニング時点で不安要素を取り除けていなかった

上記の1~3の問題点に対しての改善アクションとして「タスクを細かく分解する」が挙がりました。 加えてこのプレモーテムの存在を知り、「各々が感じている不安を取り除く場として機能させられる」と感じてスプリントプランニングに取り入れました。

プレモーテム(死亡前因子分析)の背景はこちら

やってみて何か変わったのか

正直な話、プランニングの時間は増えました。 ただ事前にプレモーテムで不安要素を取り除き、大きすぎてイメージできないタスクを細かくするよう取り組んだ結果、計画作り(= スプリントプランニング)に対して意義を感じるようになりました。

またその結果としてスプリントが安定するようになりました。

デイリースクラムで「スプリントゴールを達成するために」どうしたらいいかを議論

何をやったか

元々デイリースクラムでは、「3つの質問」と「ファイブフィンガー」を用いてゴール達成に対する認識合わせを行っていました。

  • 3つの質問:「前回何をしたか」「今日何をするか」「問題・課題は何か」
  • ファイブフィンガー:スプリントゴールを達成できるかどうかの自信の度合いを1 ~ 5で表現する

ただ「認識合わせ」と言えば聞こえはいいですが、実際は「進捗共有」をしているだけで、「ゴール達成」に向けての議論は成されていませんでした。 結果、進捗の遅れに気づきにくい状態になり、ゴール直前でバタつくといったことも多々ありました。

この状態をリスクだと感じ、スクラムマスターに問題を提起します。 その結果、スクラムマスターがデイリースクラムのフォーマットを変更し、以下のような設問を追加してくれました。

  • 何を変える必要があるか
  • 今何が起きているかを理解できているか?
  • お気持ちで「頑張ります」になっていないか
  • 今取り組むべき最も重要なことは何か?
  • 最もシンプルで最も効果的なやり方はあるか?
  • 必要最小限の価値を出すために何ができるか?
  • 自分たちのキャパシティを超えるコミットメントをしていないか?

現在はこの設問を用い、日々ゴール達成に向けての議論が行われています。

何が変わったのか

以前は「ゴール達成」に向けての議論はなく、ただ進捗共有をし「その日1日」の議論を実施しているだけで、「デイリースクラムって進捗共有会なの?」と感じていたのが本音です。

デイリースクラムのフォーマットを変えることで、「ゴール達成ができるか」にフォーカスした議論が活発化するようになり、タスクに取り組む体制・優先順位を見直すようになりました。 また結果、「今日やるタスク」に自信が持てるようになりゴール直前でバタつくこと減ったと思います。

連日ゴール達成に向けての議論を繰り返すことで、「デイリースクラムはスプリントゴールを達成できるか検査するイベント」なんだ、と少しずつ意義を感じるようになっていきました。

リファイメントの前に準備の時間を設ける

何をやったのか

スプリントレトロスペクティブの議論の場で以下の問題点が挙がりました。

  1. 要件の理解や実現方法の検討もできずで、「ただPOから話を聞くだけ」のあまり意味のない時間になっていた
  2. 時間内にストーリーの詳細化が進まず、結果として荒いストーリーをスプリントに持ち込んでしまうようになっていた

上記の問題点対しての改善アクションとして「リファイメントの準備時間を設ける」が挙がりました。

何か変わったのか

要件の理解や軽く実現方法の検討を事前に話し合うことにより、リファイメント時の理解度が上がり「ただPOから話を聞くだけ」の状態が軽減されました。 また時間内にストーリの詳細化も進むようになり、リファイメントをやる意義を感じるようになりました。

まとめ

正直スクラムを初めた当初はスクラムイベントの意義を感じられず多くのイベントに懐疑的でしたが、8ヶ月間チームでの改善活動や取り組みを繰り返す中で、それぞれのイベントに意義を少しずつ感じるようになりました。

懐疑的と感じることは重要です。ただ、違和感は放置しないこともまた重要です。 チームに共有し、改善を繰り返していくことで、スクラムイベントの意義が少しずつ実感できるようになると思っています。

さいごに

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